逆子死亡訴訟で最高裁、医師側勝訴の高裁判決を破棄

http://www.asahi.com/national/update/0908/TKY200509080342.html

 94年、出産直後の長男を亡くした両親が「逆子だったので帝王切開を強く望んだのに医師に拒まれ、結果として難産となって死亡した」として医師らに約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が8日あった。最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は「医師は自然分娩(ぶんべん)を選ぶ理由やそれに伴う危険性を両親に理解させ、受け入れるかどうか判断する機会を与える義務があった」と述べ、両親の主張を全面的に退けた二審・東京高裁判決を破棄して審理を同高裁に差し戻した。

 この裁判で、両親は、医師に「自己決定権」を侵害されたと主張。最高裁の判断が注目されたが、判決は自己決定権という言葉は使わず、医師の説明義務違反を指摘するにとどまった。

 第一小法廷は今回のケースについて、医師が(1)分娩方法の重要な判断要素となる胎児の体重や体の向きなどを説明しなかったこと(2)「いつでも帝王切開に移れる」と説明したこと――を重視。「十分な説明をしていない」と判断した。